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2010年10月29日 (金)

思ひ出すとは 忘るるか 思ひ出さずや 忘れねば 

昔はなかったけれども今はあるものと、昔はあったけれども今はないもの。

皆さまの頭の中には、どんなものが思い浮かびますか。 

便利な物やコトバが増えれば増えるほど、失われていくものも多いんだなぁ、と痛感されられたのがこの本。

『絶滅寸前季語辞典』 夏井いつき ちくま文庫

姿を消しつつある季語ならびに日本の風物が、軽妙な語り口で説明されています。おもしろいです。

例えば、夏の季語に「毒消売」というのがあります。越後や越中からくる行商の薬売りで、解毒剤を売って歩く娘のことだそうです。

これを読んで、いつのころだったか、富山の薬売りが京都の我が家にも来ていたことを思い出しました。その置き薬は祖母が管理していたようですが、家族の誰かが服用しているところは見たことがありません。子どもにとっては、薬売りはナゾの人物でした。

薬売りは、私に紙風船やゴムの風船をくれたことを覚えています。何の変哲もない風船なのですが、ナゾの人物がくれる風船だからこそ、私は大事にしまっていました。しかし、いつの間にか風船はどこかに失くしてしまい、失くしたことを忘れたころに、また薬売りがやって来るのでした。

もらった風船を失くしたことすら忘れて何年もたち、薬売りの存在さえ忘れかけていました。

思ひ出すとは 忘るるか 思ひ出さずや 忘れねば 「閑吟集」
(思い出すというのは忘れてのことなのか。思い出さないではないか。忘れていないのなら。) 

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